道友社 編
天理よろづ相談所病院「憩の家」の開設にあたり、看護ようぼくの育成を目的に、昭和38(1963)年、天理准看護婦養成所が開設されました。しかし、平成8(1996)年12月、厚生省(当時)の准看護婦問題調査検討会が、21世紀初頭の早い時期に看護婦(士)養成制度の一本化を目指すという報告書を発表。これを受け、同養成所は平成13年3月の卒業生をもって閉所しました。
本書は同養成所の廃止を前に、刊行されたものです。
内容は3部構成で、第1部は、喜多秀義初代所長のインタビューや書かれたものなどを中心に、開設当初のことが記されています。第2部は、養成所の2年生が「憩の家」で臨床実習を行ったときの実習日誌より抜粋。16、7歳の若さで初めて医療の現場に立った驚きやとまどい、そして、何とか患者さんの役に立ちたいというけなげな思いがつづられています。第3部は、長年にわたり養成所で生徒の教育に当たった担当者らによる座談会の模様です。
「真柱さん(中山正善二代真柱様)はですね、『看護婦を養成せなあかん』と言われた。それも、『普通の看護婦であってはいかん。やっぱりお道の“看護ようぼく”や』と。だから、看護ようぼくというのは、准看養成所のキャッチフレーズですわ。その看護ようぼくをして、一番分かりやすく言われたのは、『憩の家は病院ではない。人間が心疲れた時に憩う場所だ』と」(初代所長のインタビューから)
養成所の目指す看護ようぼくの精神は、直接医療に携わると否とにかかわらず、すべてのようぼくに通じるものと言えるでしょう。
四六判並製/208ページ