高野友治 著
本書は、天理教伝道史研究の第一人者であった著者の処女作であり、その後も書き継がれてきた代表作。昭和46（１９７１）年の改修版の一部を改め、全一冊として復刊しました。
天理大学名誉教授の著者は、明治42（１９０９）年生まれ。昭和７（１９３２）年に天理外国語学校（当時）を卒業後、道友社編集部に勤務し、翌８年から３年間、『天理時報』に「教祖伝の時代背景」を執筆、それが11年に『御存命の頃』と題して出版されました。その後、全国を歩き回って史伝の調査を続けながら、天理教校や天理大学で天理教史を教えました。
『御存命の頃』は、『高野友治著作集』など多数著書のある氏の最初の著作で、その後、調査収集した資料を書き加えて、昭和22年に改版（上中下３巻）、さらに昭和46年に改修版（上下巻）が出され、氏の代表作となっています。
著者は「あとがき」に「最初にこの本を書いたときには、教内に読みものがなかった。民間を歩き回って屑のような話を書かせてもらった。それでも読んでいただいた。二度目には、教内にたくさんの本が出回っていた。ご本部の出版物と違った民間の資料を集めて出させてもらった。それが時代がかってきているのだ。話の内容が百五十年も昔のことになる。そして書いたときが五十年も昔になる。時代がかるのも無理がない。逆に、骨董的価値が出てきたような感じもする。今になってみると、昔を知らない人が多くなっている。昔の話、個人的にも、自分の家の話は、その人の現実の土台となっているのだ。土台を知って、自分の生き方の自覚が出るのだ。そういう意味で、読んでいただきたい」と記しています。
教祖のご在世当時の時代背景と道の雰囲気を存分に伝えてくれる名著です。
Ａ５判並製／456ページ
