【内容紹介】
全人医療のエキスパートが語る、長寿社会を生き生き暮らす知恵。
今中孝信 著/四六判上製/244ページ
著者は昭和47(1972)年、天理よろづ相談所病院「憩の家」血液内科に入局。総合診療教育部長、副院長などを歴任し平成12(2000)年に定年退職しました。
本書の内容は「第一部 健やかな生とは」「第二部 健やかな老い、健やかな死」の2部構成です。
第一部はまず、過熱する健康ブームへの疑問から始まります。一例として、フィンランドの保険局が行った調査結果が紹介されています。働き盛りの1200人を2つのグループに分け、一方は定期的に細かく健康指導を行い、もう一方には何も指導せずに、15年後を比較。結果は、指導を行ったグループに生活習慣病患者、病死者、自殺者が多く見つかったのでした。
著者は、現代人が身体の健康にのみ心を奪われ、「健康が生きる目的」になっているからだと指摘します。さらに「これからは、精神面や社会面も含む全人的な健康観を持ち、一人ひとりが生きがいを持った人生を」とも続けます。
第二部では、全人的な健康観に立ったうえで、「長い老後」をどう充実させるか、そして「健やかな死」を迎えるにはどうすればいいのか、について述べています。健康な老いを阻害する問題点、がんを克服する生き方、ホスピスケア、尊厳死、「たましい」の問題などについて、著者の父母の看取(みと)りや、兄の死など、自らの体験も交えながら熱く語っています。
【目次】
はじめに
第一部 健やかな生とは
- 健康になりたいという病
- 虫メガネで健康をみる
- 健康診断は病気製造機?
- バイキン恐怖症で人間は自滅する!?
- 健康を全人的にとらえる
- 「顔つき」で健康度が分かる
- 健康は生きる目的にならない
- 「病気」ではなく「病人」をみる医療
- 患者中心の医療への転換
- 天理よろづ相談所病院「憩の家」と全人医療
- がん診療の問題点と付き合い方
- 怖いがん、怖くないがん
- がんの治療は医者任せではだめ
第二部 健やかな老い、健やかな死
- 健康に老いる
- 老人を正しく理解する
- 日々を生き生きと暮らすために
- 「たましい」と健康
- 「たましい」抜きに真の健康はない
- 「たましい」の悩みと向き合う
- 健康に死ぬということ
- 健康に生き、健康に死ぬということ
- ホスピスケアについて
- 尊厳死について
- 死を見つめ、いまを生きる
- がん患者の生き方から「死」を学ぶ
- がんを克服する生き方
- 「健康に死ぬ」には準備が必要
- 「生かされている」ことを知ってこそ
- 淡々と生き、淡々と死ぬ
- 死を見つめ、いまを生きる
おわりに