金子昭 著
平成13(2001)年、天理教災害救援ひのきしん隊(略称=災救隊)は結成30周年を迎えました。本教は、災救隊の結成からさかのぼること80年前、明治24(1891)年に発生した濃尾地震を端緒として、さまざまな自然災害の被災地で救援活動を繰り広げてきました。本書は、1世紀余りにわたる、その知られざる歴史を掘り起こした渾身の力作です。
この本は、金子昭・天理大学助教授による『天理時報』の連載記事(平成11年2月ー12年12月)を踏まえ、全面的に加筆・修正したものです。巻頭グラビア10ページ、本文中の写真35点をはじめ、地図、表、コラムなどを多用して、視覚的・複眼的に先人たちが残した足跡を浮き彫りにするドキュメンタリーとなっています。また、巻末には1世紀の主要な救援史をまとめた「天理教の災害救援史年譜表」が付いています。
“きょうだい”の難儀を知り、やむにやまれぬ思いで被災地に駆けつけた先人たち。その精神を受け継いできた幾多の教友たち。たすけ合いの誠を尽くす真実の姿を淡々とした筆致で描き出す本書は、混迷する現代社会での布教活動を考えるうえでも、多くの示唆を与えてくれる一冊です。
A5判並製/286ページ