田邊教郎 著
本書は、『天理時報』のコラム「和楽」に、立教163(平成12、2000)年4月から165年3月まで連載された百話を一冊にまとめたものです。
四季の移ろいと日常の身近な出来事を主な題材に、信仰的なものの見方を交えながら、1話わずか800字にまとめ上げるという作業は並大抵なことではありません。
天理教此花大教会長である著者は、これまでに青年会本部出版部長、同委員長、道友社『天理時報』編集部記者などを歴任しました。「和楽」以外にも、教内の刊行物でさまざまに健筆を振るっています。
本文中で著者は、自身のことを「自分の書いた文章が活字になることに憧れを抱いた?文学少年?」と称しています。そんな少年時代からの思いを、現在の執筆活動に込めているのかもしれません。
主な内容としては、「花の香りを楽しむ人々」「暑さをしのぐ消夏法」「小春日和と教祖の温かみ」「お節会の味は真心の味」といった季節感のある話。 また、ニューヨーク同時多発テロとアメリカのアフガン攻撃について述べた「史上最悪の同時多発テロ」「世界の事情の治まりを祈ろう」などの時事問題。歴史故事を新たな視点から考えた「明治五年の改暦の詔勅」「王昭君は悲劇の女性なのか」。自らの少年時代を懐古した「カエルの発生の不思議」「ハエと便所掃除」など、取り上げた話題は多岐にわたっています。
文庫本サイズなので、手軽にお読みいただける一冊です。
A6判並製/220ページ