いま世の中には大小さまざまなストレスが満ちあふれています。その反動からか、「癒やし」や「なごみ」なる言葉が流行し、多くのストレス解消法や癒やしグッズなどが至る所で見受けられるようになりました。
そんな風潮にあって、本書は単にストレス解消法を教えるたぐいのものではありません。ストレスとうまく付き合っていく心構えや対処法を紹介、さらには、ストレスを上手に受け入れ、逆に、やる気を生み出すエネルギーに変えることで、自分自身を成長させようという積極的な生き方を提言しています。
著者は山梨医科大学医学部脳神経外科助教授、沼田脳神経外科循環器科病院名誉院長などを歴任、四半世紀にわたって脳神経外科医として務めてきました。
本書では、実際に診察したストレス性の諸症状や改善例を取り上げ、長年の臨床現場での経験を踏まえて、医学的にストレスの正体を解明しています。また、天理教の教会で生まれ育った著者(北巨摩分教会教人)は、お道(天理教)の信仰を持つ医者として、心と体のかかわりについて教えの視点からもアプローチ。「病のもとは心から」「八つのほこり」といった教えは、医学の世界で説かれる「ストレス理論」に通じるところがあるという独自の発想を展開しています。
本書は、何かとストレスの多い現代に生きる私たちに、陽気に、いきいきと、しかも力強く健やかな人生を送るヒントを提示してくれる“養生訓”ともいえる書です。読み終えたとき、ストレスに対する心の持ち方が変わり、困難に立ち向かう元気がでてくることでしょう。教語を分かりやすく説明してあるので、広く一般の方にもお薦めします。
【目次】
まえがき
序章「国民総ストレス社会」をどう生きるか
- 脳科学で心の世界の解明へ
- 患者の悩みに答えられない現代医療
第1章 ストレスと健康 ――百十五歳は夢じゃない
- よく死ぬとは、よく生きること
- 「まさか」から「もしや」の時代へ
- 日本人はどんな病気で死ぬのか
- 夢ではない「百十五歳定命」
- 笑いは脳を若々しく保つ
- 感謝すること、とらわれないこと
第2章 こころ、からだ、ストレス
- 理性がなければ人類は滅んでいた
- ストレスを乗り越えられない若者たち
- いま、ストレス性の病気が急増中
第3章 ストレスのない人生は退屈でつまらない
- ストレスには「善玉」と「悪玉」がある
- 「能動(善玉)ストレス」
- 病気を招く「受動(悪玉)ストレス」
- 緊急事態に備える身体のシステム
- 体は自然の防御機能に守られている
- 生きる意志のあるところに生がある
第4章 "一病息災"の生き方を受け入れよう
- 心身の仕組みの解明が始まった
- 不眠はストレス症状の入り口
- 肩こり・頭痛は万病のもと
第5章 ストレス性の諸症状と改善例
- ストレス症状は血流障害から
- 凝りからくる頭痛
- 全身の痛み
- めまい ――クラクラ感とフワフワ感
- 口が渇いて仕方ない
- 手足のしびれ ――直接暗示
- 動悸が止まらない
- 慢性的な胃の不快感
- 不眠から全身倦怠感へ
- ストレスに起因する病気
第6章 善玉ストレスがやる気を生む
- ストレス症状を出さないために
- 身体がリラックスすれば生活も変わる
- 脳は心と体の決定権を持つ
第7章 ストレス人生を陽気ぐらし人生に
- 私が脳神経外科を志したわけ
- 「八つのほこり」はストレスの指標
第8章 人生の"臨界点"を超えていこう
- 「病のもとはストレスから」
- 人生の"臨界点"超え、心の器を広げて
第9章 信仰を持つ医者から四つの提言
- ストレスを受け入れ、心の器を広げよう
- 自己管理能力を磨き、心の器を広げよう
- 自己管理能力を磨き、依存体質から抜け出そう
- 愛と誠 ――二十一世紀は人のために生きよう
- 老いも若きも健やかな人生を生きよう