村上領一 著
天理教泉東分教会3代会長である著者は、『稿本天理教教祖伝逸話篇』に登場する村上幸三郎(同教会初代会長)の孫に当たり、明治45(1912)年、大阪に生まれました。早稲田大学在学中、布教師に付いて戸別訪問をしたことがきっかけで、布教への意欲が芽生えます。以後、平成11(1999)年に88歳で出直すまで、60年以上にわたり、常に周囲の人々の先頭に立って布教活動を続けました。
その歩みをまとめた同教会発行の私家本の内容が、平成13年1月から12月にかけ『天理時報』紙上で連載されました。その連載に未掲載の10編を新たに加え、再編集を施したのがこの本です。
本書では、“飛び込み”と称する著者の戸別訪問の様子を中心に、質素倹約を旨とする暮らしぶり、最も多いときで50人もの住み込み人を抱えての教会生活、国内外の観光地における外国人へのにをいがけなど、さまざまなエピソードが紹介されています。また、著者がにをいをかけた人の中から、数多くの布教師が育ちました。そうした布教師の丹精に心血を注いだ“人づくり”の姿勢にも、見習うべきところは少なくありません。
“生涯一布教師”の信念を貫き、にをいがけ・おたすけに専心した著者の足跡は、私たちにさまざまなことを教えてくれます。読み終えた後、たすけ心の灯がともり、勇気がわいてくることでしょう。一人でも多くのようぼくに読んでいただきたい一冊です。
新書判並製/216ページ