道友社 編
本書は、一般公募30編と依頼原稿8編から成る「母のぬくもり」編と、編集部の取材・書き下ろしによる7編から成る「母の重み」編で構成されています。
本書には、明治・大正・昭和初期生まれの、妻、母、ようぼくとして生き抜いた女性46人が登場します。どの話も、読者の心を揺さぶるものばかり。その根底には、わが子にお道を伝えようとする親心が脈々と流れています。
母親が信仰初代という話も少なくありません。身上、事情からいんねんを自覚し、無理解からくる周囲の反対や嫌がらせをものともせず、一心不乱に突き進む姿に、お道の母はかくも強く優しいものかと思わずにいられません。当時、子どもだった筆者たちは、そんな母親に対し、時に恨みを抱き、時に反抗しながらも、大いなる親心に包まれて、やがては母と同じ信仰の道をたどっていきます。
戦争抜きには語れない話も多く、当時を知る人にとっては“共感” を超え“実感”をもって読まれることと思います。終戦後、その日を生きることが精いっぱいという中で、必死におたすけに奔走する母親たち。「わが子のことは神様が守ってくださる」と信じ、布教に、丹精にと明け暮れる姿は、もはや子どもの母という立場を超えた存在、まさに「道の台」と言えます。
樋口久子さん(日本女子プロゴルフ協会会長)、正司敏江さん(漫才師)など、社会で活躍するようぼくも登場します。一話一話が、重く温かい、読み応えのある本です。
A5判並製、328ページ