日本図書館協会選定図書
【内容紹介】
「かわいい」 「かわいそう」 だけでは 共に生きられない。
日本最北端にある動物園「旭山動物園」園長である筆者がつづるエッセー集。
水中を"翔ぶ"ように泳ぐペンギン、高所を綱渡りで移動するオランウータンといった「行動展示」が生まれた経緯や思いを語る。
また、新たないのちの誕生と死、北海道の自然と野生動物などの話題にもふれ、環境問題や絶滅危惧種の問題を通して、本来は人間も動物と一緒に暮らす生き物であることを気づかせてくれる。園内動物たちの写真付き(カラー写真20点/モノクロ写真20点)
坂東元 著/新書判/288ページ
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【目次】
【はじめに】
【旭山動物園の動物たち1】
■「生きていること」の本質――2007
- 生き物に"飽きる"現代社会
- 「鳥インフルエンザ」は人間が生み出した!?
- 弱いものがいのちを引き継ぐ?
- 「ダメなものはダメ」のけじめ
- 「生きていること」の本質
- エキノコックス騒動が示したもの
- 「ナカちゃん」は、なぜ死んだ?
- "母性のスイッチ"が入るとき
- キリギリス捕りにも温暖化の影響!?
- 「連鎖の輪を断ち切る」という罪
- けがの仕方を遊びから学ぶ
- 人間の干渉のさじ加減
■オランウータンの森が消えていく――2008
- レッサーパンダのバランス感覚
- オランウータンの森が消えていく
- "お袋の味"がいのちを守る
- 子別れのタイミング
- 剥製ではなく、いのちを見せたい
- "檻越しの共存"というルール
- 「オオカミの森」のメッセージ
- ペンギンたちの過酷な夏
- 人間は自然のなかにいない
- 未来へいのちを引き継ぐ動物園
- キリンの「ゲンキ」、初めての越冬
- すべてのいのちは循環している
■いのちは必ず死で終わる――2009
- 自然遺産、みんなで守る仕組みを
- オオカミとして生きた「クリス」
- 氷や雪を頼りに生きるいのち
- オランウータン「モモ」の死
- いのちは必ず死で終わる
- 眠っている能力を目覚めさせる
- 電気柵でエゾシカの"道"を確保
- 想定超えたテナガザルの大ジャンプ
- 受け継がれた「ザブコ」のいのち
- 本当のエコ、見極める目を
【旭山動物園の動物たち2】
■エゾシカのいのちの価値は…――2010
- "動物の目"に映る人類
- ホッキョクグマ、新たな血統誕生へ
- 絶滅危惧種を守るとは…
- 動物のいのちから授かる力
- 口蹄疫が問いかけるもの
- 「今どきの若者は…」と言う前に
- 野生動物への「恩返しプロジェクト」
- ペンギンの幼稚園
- 絶滅危惧種はヒトの暮らしの鏡
- 生物保全と遺伝資源
- エゾシカのいのちの価値は…
■ヒトだけでは生きられない――2011
- 生き物との距離感を考える
- ホッキョクグマの大移動
- 本当に必要なものは何か?
- ヒグマの「トンコ」が母親に
- オオカミはペアで子育て
- 夏のドキドキいつまでも
- ヒトだけでは生きられない
- 風土に合わせた暮らし方を
■地球は一つのいのち――2012→2014
- カバの「ゴン」、四十四年の重み
- 距離感ゼロ!? レッサーパンダの「栃」
- フラミンゴ脱走の波紋 その一
- フラミンゴ脱走の波紋 その二
- エゾシカ「治夫」の死に思う
- つながってこそ、いのち輝く
- 昆虫食が人類を救う!?
- タンチョウのヒナを傷つけた犯人
- 地球は一つのいのち
【あとがき】
【著者紹介】
坂東元(ばんどう げん)
1961年、北海道旭川市生まれ。86年、酪農学園大学酪農学部獣医学修士課程修了。
同年5月より、旭川市旭山動物園獣医師として勤務。95年、飼育展示係長。
2004年、副園長に就任。09年から園長を務める。
著書に『動物と向きあって生きる』(角川学芸出版)、『旭山動物園へようこそ!』(二見書房)などがある。