著者:福島 智
四六判並製/232ページ
商品説明
盲ろう二重障害を抱え世界初の大学教授に。「苦悩」の意味を問い、「絶望」を「希望」に変える“生きる”エッセー!
『天理時報』(平成22年~25年)連載 「生きるって人とつながることだ」待望の書籍化。
永遠に続く夜と沈黙の世界。
そこに閉じ込められた私を救ったのは、母が考案した
「指点字」という新たなコミュニケーション手段であり、
それを用いて私に語りかけてくれた多くの友の存在だった。 (本文から)
9歳で失明。18歳で失聴。世の中から隔絶された著者を救ったのは、指点字という“ことば”の光だった。さまざまな出会いと別れのなかで、著者のいのちに灯をともしたエピソードをつづる珠玉のエッセー集。巻末には、指点字考案者である母・令子さんとの対談も収載。
【目次】
◆ 美しいことば
「光」と「音」を失って / せいいっぱいがんばれや / 重荷を一緒に持ちたい / 男版ヘレン・ケラーになりそうや / 宇宙人に会いたい / 色点字 / 最高の出会い / 同じ空の下 / 走らなきゃ / 二パーセントの真空 / ニューヨークのバス / 指で聞く歌 / 美しいことば
◆ せつなさと美しさと
しっかり生きる / 防災とバリアフリー / 夢と希望を / 人生の杖 / 生きたくても生きられなかった / 心 眼 / 形式にこだわらず / 教育者の二つの陥穽 / 寿 命 / 水のように / サイパンのナマコ / 母の祈り / せつなさと美しさと
◆ 命が美しいのは
桜は散っても / ことばよりも / 思い出はエヴァーグリーン / 身の丈にあった人生 / 三診の心 / 動きながら、考える / それぞれの「光」 / 自分の「人生づくり」 / 負われて見たもの / 心で見る / 苦悩の意味 / 人のつながりに寄り添う / 命が美しいのは
◆ ことばは光
【対談】自分を主語にして生きる
【点字・指点字について】知性の輝きと心の豊かさ提供する「命のことば」
あとがき
指点字表
【著者プロフィール】
福島 智(ふくしま さとし)
1962年、兵庫県生まれ。3歳で右目を、9歳で左目を失明。18歳で失聴、全盲ろうとなる。1983年、東京都立大学(現・首都大学東京)に合格、全盲ろう者として初の大学進学を果たす。1996年、金沢大学助教授、2001年、東京大学先端科学技術研究センター助教授に就任。2008年、博士号を取得し同大教授に。盲ろう者で常勤の大学教員になったのは世界初。研究分野は障害学、バリアフリー論。社会福祉法人全国盲ろう者協会理事、世界盲ろう者連盟アジア地域代表。主な著書に『渡辺荘の宇宙人』(素朴社)、『盲ろう者とノーマライゼーション』『盲ろう者として生きて』(共に明石書店)、『ぼくの命は言葉とともにある』(致知出版社)など。